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過程を経ずして結果は出ない

2021.07.19

みなさんこんにちは。

川和町校の那谷屋です。

ここのところ、じめじめした天気が続いております。

学生時代は天パが激しかったので、こういった天気のときはグルングルンになっていました。

大学で髪を茶色くして痛めつけて以降、なんだか天パは落ち着きました。

あ、今はもちろん黒ですよ。

今後もし髪に変化があるとしても、白くなるか減っていくかだけです。

怒りで金色になったりもしません

…書いていて自分で悲しくなってきました。

さて、ここ最近は夏期講習に向けて毎日面談をさせて頂いておりました。

ブログも滞ってしまっており、反省しております。

その反動というわけではないですが、今回のブログは読みごたえがあると思います。

で、面談の中で、生徒保護者問わず、よく質問されることがあります。

今回はそのあたりをゆるくお伝えしていこうと思います。

「結局暗記ですよね」

理科や社会の知識、あるいは漢字や英単語について、よくこう言われます。

結論からいうと、まぁそうです。

その後に計算問題や記述問題につながるとしても、知識面では暗記になります。

ただ、そこに至るまでの方法がたくさんあるので、考える必要があるんです。

暗記というゴール地点だけを見てしまうと、「ダイエットって結局運動することよね。毎日30分走ればいいんでしょ」っていうのと同じになってしまいます。

そりゃそうなんだけど、それがなかなかできないから苦労してんじゃん、てなります。

なので、ゴールまで辿り着くためにどうしていったらいいかを考える必要があるんです。

「それは…そうなんですが…」で周りが解決してくれるのは三雲修だけです。

ということで、例として、縄文時代と弥生時代の知識について見ていってみましょう。

本当は幕末のあたりが超面白いんですが、私の知識不足により今回は諦めます。

まずは知識のみ

縄文時代の知識事項としては、「縄文土器・狩猟生活・磨製石器・竪穴住居・貝塚・土偶」あたりでしょうか。

対して弥生時代は、「弥生土器・稲作・金属製の道具・高床倉庫・環濠・邪馬台国・卑弥呼・漢委奴国王」あたり。

時代が進んだことで知識量が増え、人名も出てきます。

これらを丸暗記しようとすると、ものすごくつまらないです。

目次を読んでいるのと変わらないです。

ところが小テストなんかでは一問一答式でこれらの語句を答えさせる問題が多いもんだから、それを通過するために語句だけを覚える人が出てきてしまいます。

当然、小テストが終わった瞬間にすべて忘れます

この結果だけを見て、「あんたは覚えてもすぐ忘れるんだから」と責めるのは、ちょっと可哀想です。

流れを見てみる

よく「歴史は流れを理解するのが大事だよ」と言われます。

出来事が起きた原因と結果、つまり因果関係を理解することで丸暗記の負担を減らそうというわけです。

テストで出題される知識の間を予備知識が補完していく形になるので、暗記量は増えます。

ただ、理解はしやすくなるので楽しくはなります。

例を挙げてみましょう。

「悟空対フリーザ開幕→界王拳20倍かめはめ波→特大元気玉→クリリン死亡→超サイヤ人覚醒」

これだけだと出来事の羅列になってしまい、面白くありません。

ここで因果関係を補足します。

悟空対フリーザ開幕

原因:ナメック星のドラゴンボールをめぐって同じ狙いのフリーザ軍と敵対することになり、ポルンガに願いは叶えてもらったもののフリーザの怒りを買い戦うことになった。悟飯、クリリン、ピッコロ、ベジータが追い詰められ絶体絶命と思われたそのとき、治療を終えた悟空が駆けつけてくれた。

結果:お互いの実力を探り合いながら戦っていくも、徐々に隠していたパワーに差が出始め、悟空が追い込まれることになった。

界王拳20倍かめはめ波

原因:追い詰められた悟空が起死回生の一手として、身体の負担は大きいが賭けに出ることにした。

結果:50%のパワーを出したフリーザに防がれてしまい、さらに追い込まれることになった。

特大元気玉

原因:体力を使い切った悟空は最後の切り札として、周りの星々からも元気を集めた。ナメック星へのダメージを考えると、できれば使いたくなかった。

結果:フリーザに直撃し大ダメージを与えるも、倒すまでには至らず、さらなる怒りを買うことになった。

クリリン死亡

原因:怒りが頂点に達したフリーザは、悟空の前に周りの邪魔な雑魚を一掃しようとし、ピッコロに瀕死のダメージを与え、次にクリリンに焦点を絞った。

超サイヤ人覚醒

原因:クリリンがフリーザに殺されたため。クリリンは修行時代からの同期。悟空にとって唯一ともいえる親友で、一度ドラゴンボールで生き返っているために二度と生き返れない。

結果:怒りによって目覚めた超サイヤ人の圧倒的パワーによってフリーザを追い詰めた。

長くなりましたが、こんな感じです。

かなりわかりやすくなったんじゃないでしょうか。

同時に、興味が出てきたとしたら、疑問に感じることも出てきたんじゃないでしょうか

なぜナメック星に行ったのか?悟空はなぜ治療していたのか?なぜお互い最初から全力で戦わないのか?その後戦いはどうなったのか?

そう、歴史というのは、その時代だけで独立しているわけじゃないんです。

ある日突然弥生時代が始まって終わったわけではなく、縄文時代があって弥生時代があり、その後には古墳時代があるんです。

変化していく時代を因果関係でつなぐ作業が、「流れを理解する」ということです。

実際に、縄文時代で考えてみましょう。

旧石器時代から縄文時代にかけて、地球上では大きな変化がありました。

氷河期が終わり、暖かくなっていったんです。

すると、大型の生物は急激な環境の変化に耐えられなくなり、どんどん絶滅してしまいました。

これまでの人間の主食はマンモスなどの大型動物です。

マンモスの倒し方は、大勢で囲んでひたすら殴る。

分厚い毛皮でもかまわずダメージを与え続ける。

つまり重くて大雑把な武器が使われていました。

これが打製石器です。

しかしマンモスら大型動物が絶滅してしまい、残ったのはシカやウサギといった小型の動物だけになってしまいました。

すると、打製石器では小回りがきかなくなり、獲物を捕らえられなくなりました。

そこで、刃先が鋭く一撃で致命傷を与えられる槍や、遠くからでも狙える弓矢が開発されました。

これが磨製石器です。

また、気温が上昇したことで木の実がたくさん採れるようになりました。

すると、食物を求めて移動し続ける必要がなくなってきます。

そこで、人々は定住する生活を始めました。

ということは、家が必要です。

そこで地面を掘って柱を立て、樹皮やカヤで屋根を葺いた竪穴住居が作られるようになりました。

肉や魚や木の実はそのままでは食べられないこともあったので、焼く・煮るなどの調理方法が考えられました。

当然、そのための器が必要になります。

縄文土器の登場ですね。

これは調理だけに使われていたわけではなく、装飾として使われたり、祭り等の儀式にも使われていたそうです。

現代でいう食器・インテリア・祭具の役割を担っていたんですね。

だから派手な模様をしています。

調理をすると、ゴミが出ます。

それまではゴミが出てもそのへんにポーイでよかったんですが、定住しているのにそれをやってしまうとどんどん散らかってしまいます。

そのため、共用のゴミ捨て場が作られました。

これが貝塚です。

貝塚からは人骨も発掘されています。

ゴミ捨て場というだけではなく、お墓としても使用されていた説もあります

また、埋葬された人骨には装飾品がつけられていることが多く、当時の人々は信仰心が篤かったことも想像できます。

おそらく何かしらのイベントがある度に神や精霊を祀り、祈りを捧げたのでしょう。

そこで使われたのが土偶です。

土偶は人の形をしているものが多いのですが、その中でも身体の一部が意図的に壊されたものが多いそうです。

病気や怪我をした部分を壊すことで快癒を祈ったり、厄除けに使われていたのかもしれません。

こうして縄文時代の人々は手を取り合いながら暮らしていました。

ちなみにこれらの資料は青森県の三内丸山遺跡で見学することができます。

私の友達が学芸員をしているので、ぜひ遊びに行ってみてください。

私の名前を出せばきっと驚かれることでしょう。

たぶん、それ以外は特にサービスとかはしてくれないと思います。

さて、人類というのは、常に好奇心で満ちあふれています。

狩猟も採集もできるけど、年によっては食糧不足になることもある。

ならば自然の力に頼るのではなく、自分たちで栽培できないだろうか。

そう考える人間が出てきます。

そして、海の向こうには何が広がっているんだろう。

まだ見ぬ水平線の向こうへ船を走らせてみたい。

そう考える人間も出てきます。

こうして日本に稲作が伝わりました。

人類の好奇心によって安定した食料供給が可能になり、移動手段が増えたことで未開の地へ挑む。

稲作が伝わり日本人の生活が一変したのはきっと偶然ではないのでしょう。

こうして時代は縄文から弥生へと移っていきます。

が、長くなるのでいったんここで終わります。

これが「歴史の流れ」です。

長いですか?そうですね。

でも、語句を丸暗記するよりずっと面白かったんじゃないでしょうか。

歴史とは、自分たちのご先祖様が何を考え、どう生きていたかの話なんです。

つまらないわけがない。

弥生時代はもっとストーリー性が高くなって面白くなります。

ちなみに、中学の教科書では縄文時代のことは1ページしか書かれていません

なので、いま書いたことの8割は載っていません

ていうか、「打製石器」「磨製石器」という単語が教科書に載っていませんおじさんびっくり。

動物を狩るのも、木の実を採集するのも、とても苦労する作業です。

実際にやってみればわかります。

縄文時代の人々が体格的に現代人より優れていたわけではありません。

もちろん失敗することもあります。

それでも生きるため、苦労をし工夫をし、定住そして栽培へと暮らしを良くしていきました。

その苦労や人々の感情の機微が教科書には載っていません

だから、つまらないんです。

ただ、これはしかたないことでもあります。

全部載せていたらとんでもない量になってしまいますし、感情を表現しようとすると主観的になってしまうので教科書としては失格です。

面白くするためには、自分でフォローする必要があるんです。

まだ見ぬ無駄を求めて

社会は結局暗記です。

ですが、暗記に至るまでには様々な道があります。

さきほどの記述の8割は教科書に載っていません。

ということは、8割はテストに出ない、8割は無駄ということになります。

物事が上達しにくい人は、えてして無駄を嫌がります

効率を重視して必要最小限の労力で済ませようとします

その結果が丸暗記です。

それ、面白いですか?

勉強なんてつまらない。

ほとんどの人がそう言います。

費用対効果だけを求めていれば、そりゃつまらないでしょう。

深掘りして得られるぜい肉の部分、無駄な知識こそが勉強を面白くしてくれます

ステーキの霜降り部分が美味しいのと同じです。

霜降りは贅沢品。

余計なことをたくさん勉強できるのは、楽しくて贅沢なことです。

好奇心に身を任せて、無駄知識の大海原へ旅立ちましょう。

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