ファーストペンギンであれ
2023.10.30
みなさんこんにちは。
サクシードの那谷屋です。
「ファーストペンギン」という言葉を知っていますか?
「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ魚を求めて最初に飛び込む1羽のペンギンのことです。
転じて、その「勇敢なペンギン」のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。
ここまで読んだ人はきっとこう思ったことでしょう。
「どうせファーストペンギンになって頑張りましょう的なこと言うのね」
私でもきっとそう思います。
ですので、今回はなんと、ペンギンの生態についてもう少し掘り下げていきます。
ペンギンの脚はどうして短いの?
ペンギンといえば、水族館の人気者です。
その短い脚でよちよち歩く姿は可愛らしく、飼育員さんに懐いてエサや遊びをせがむ様は、みんなを笑顔にしてくれます。
ところで、どうしてペンギンの脚はあんなに短いんでしょう。
水族館や博物館でペンギンの骨格を見たことがある人なら知っていると思いますが、ペンギンの脚は別に短くないんです。
むしろ長いです。
ふだんよく見る姿は、脚を折りたたんでいる状態です。
人間でいうと、常にしゃがんでいる状態です。
なので、よちよちした歩き方になるんです。
どうしてそんな姿勢をしているかというと、保温効果があるからです。
人間も、まっすぐ立っているよりしゃがんだほうが寒くないですよね。
また、長い脚では泳ぐ際の水の抵抗が大きくなるため、脚を短くする必要がありました。
「脚を短く」というと、語弊があるかもしれません。
短くするというより、体内に折りたたんでいるんです。
その習慣を繰り返すことで、ペンギンは脚の骨のほとんどを体内に隠すという進化をしてきました。
そのおかげで水の抵抗が減り、速く泳げるようになったのです。
折りたたむことのメリットは他にもあります。
速く泳げるようになることで、それに比例して体に大きな水圧がかかるようになります。
肋骨に守られていない臓器を水圧から守るために、脚の骨でカバーしているのです。
脚が短いのは、その愛くるしい姿を見せつけて人間に媚びるためではなく、南極で生きて行くために必要だったからなんですね。
ペンギンはどうして臭いの?
脚が短くてとても可愛らしいペンギンですが、とても臭いです。
屋内に展示されていて、かつ近付ける水族館であればその匂いを嗅ぐことができます。
匂いの原因は大きくわけてふたつあります。
ひとつは、体臭です。
動物の体臭というのは、食べているものによって大きく左右されます。
それは人間も同じです。
ペンギンは、生魚を丸呑みで食べます。
なので、ペンギンの体臭は生臭くなるのです。
それに加えて、糞の匂いも同様に生臭く強烈です。
丸呑みをしているので消化しきれないんですね。
みなさんも食事のときはよく噛みましょう。
動物園や水族館は毎日丁寧に掃除をしていますが、それでもなかなか臭わなくするというのは困難なのです。
もうひとつの原因は、ペンギンの油にあります。
ペンギンのお尻には、尾脂腺と呼ばれる油を出す器官があります。
その油を全身に塗ることで、防水効果や保温効果を高めています。
ペンギンが臭いのは、「天は二物を与えずなんだぞ」と人間に知らしめるためではなく、食生活と生きていくための進化の結果だったんですね。
ペンギンはどうして白黒なの?
ペンギンの体色といえば、白と黒のツートンカラーです。
パンダも同じ配色ですが、これはもう可愛いしか生まれません。
パンダもクマの仲間なのに、あの配色をしているだけで可愛さが530000倍になっています。
ずるい。
私も白黒で生まれてきたかった。
ところで、ペンギンの体はどこが白でどこが黒だか覚えていますか?
正解は、お腹が白で、背中が黒です。
これには理由があります。
ペンギンが海に潜っている間、上から見ると黒が海の色と混ざって発見されにくくなります。
また、下から見ると白が海に入ってくる光と同化して発見されにくくなります。
ペンギンに限らず、多くの魚は背中側が濃色、お腹側が淡色をしています。
ペンギンが白黒なのは、パンダを参考に可愛さを振りまくためではなく、海中で敵にも獲物にも気付かれにくくするためだったんですね。
ペンギンて鳴くの?
結論からいうと、鳴きます。
それも、かなりうるさいです。
てちてち歩いているふだんの姿からは想像できないような声で鳴きます。
「ア”ァ”ッ、ア”ァ”ッ、ア”ァ”ッ…ア”ァ”―――――↑」みたいな感じで鳴きます。
「トランペット鳴き」「ラッパ鳴き」と呼ばれており、まっすぐ空に向かって首を精一杯伸ばし、翼を広げてお腹から声を出します。
私がこれまでに行ったことのある水族館では、愛知県の名古屋港水族館や高知県の桂浜水族館でよく鳴いており、わかりやすかったです。
あとは静岡の伊豆シャボテン動物公園でも聞けたような記憶があります。
さて、ペンギンが鳴く理由ですが、お互いを呼び合ったり、求愛・繁殖行動、威嚇のときに鳴くようです。
よくある理由ですね。
理由はともかく、鳴き声自体は聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。
伊豆であれば近いので、ぜひ聞きにいってみてください。
「ペンギンの鳴き声を聞くために横浜から来ました」と言えば、きっと飼育員さんから「こいつ…できる」と一目置かれることでしょう。
ファーストペンギンであれ
さて、ペンギンについてだいぶ詳しくなったと思います。
そこで、ファーストペンギンの話に戻ります。
ペンギンは多くの個体が隊列を組んで氷上を移動したり、エサの魚を囲い込んで捕食したり、つねに群れで固まり集団行動をとることで知られています。
ですが、そのペンギンの群れには、特定のリーダーがいません。
強いボスやリーダーではなく、「最初の1羽」に従うのが彼らの集団行動の特徴です。
この習性は、ふだん陸上で過ごすペンギンたちがエサの魚を捕るために海へ入るときにも発揮されます。
集団性が強いので、群れの中の誰かが海に入るまではみんな氷上にとどまって動きませんが、誰か1羽でも先陣を切って飛び込めば、後に続けとばかりに次々と海に入っていくのです。
そこにはシャチやトド、オットセイなど、恐ろしい天敵が待ち受けているかもしれません。
生命の危険を顧みず真っ先に飛び込んだペンギンは、身をもってその海が安全であると仲間に示す一方、そうすることで誰よりも確実に、お腹いっぱいのエサにありつくチャンスを得るわけです。
ハイリスク・ハイリターンは、人間社会の生存競争にも通じる理です。
米国の学生へのアンケートで将来なりたい職業を尋ねると、最上位に「起業家」が挙がります。
幼い頃から「他人と同じでなく、ファーストペンギンを目指しなさい」という教育が徹底されているからです。
また、登録者数が多いYouTuberにも同じことがいえます。
彼らはそれまで他の人がやっていないこと、やりたかったけど場所や時間やお金の制約でできなかったこと、それらをやってみることで多くの視聴者を得ています。
誰かがやったものをもう一度やってみても、二番煎じと言われ全然バズらないことでしょう。
そこからヒットさせるには、話術や舞台装置を盛るなどのプラスアルファが必要になります。
そのプラスアルファは、つまり他の人がやっていないことになります。
バズるためには、常にファーストペンギンである必要があるのです。
さて、勉強に関する話をしましょう。
なぜならサクシードは塾だからです。
公立高校入試の場合、中学の内申は中2の学年末のものを参照されます。
ということは、中2の最初からずっと見られているということです。
ということは、「完全にフリーで高校を考えられるのは中1のとき」ということになります。
中1の生徒にその理由を話しつつ高校見学や文化祭に行くことを提案すると、「まだ周りの友達は誰も行っていないから早すぎないかな」と言われることがあります。
そこでファーストペンギンになってほしいんです。
誰も動き始めていないからこそ、最初に始める価値がある。
ほとんどリスクがないわりに、得られるリターンは大きいです。
周りよりも早くスタートを切ることができるからです。
そうすることで、高校の情報を誰よりも早く得ることができる。
高校の雰囲気を肌で感じることで、受験へのモチベーションが高まる。
モチベーションが高まることで目標ができ、その後の勉強に気合が入る。
そこで出た成績を見ながら、目指す高校と現在地の距離を知る。
その距離を埋めるために努力をし、モチベーションを高めるためにまた高校見学に行く。
このサイクルが最強の受験生になるための理想です。
ですが、難しいことは何もしていません。
周りよりも早く高校に行ってみているだけです。
動画風にいうと、「まだ中1なのに高校に行ってみた」です。
お察しの通り、中1である必要はありません。
小学生でもいいんです。
大事なのは、「周りがやっていないから自分もやらない」ではなく、「周りがやっていないからこそ自分が先んじてやる」ことです。
いま中学2年生に志望校を尋ねると、しっかりとした理由とともに答えられる生徒はほとんどいません。
それは当然といえば当然で、高校のことを自分から調べていないからです。
成績以外の部分で高校を見ていないからです。
周りが動いていないから、自分も動いていないだけです。
中学1年生や小学生のみなさん、高校のことを調べ始めてみてください。
中学2年生のみなさん、周りはもう動き始めています。
高校1年生のみなさん、大学のことを調べ始めてみてください。
高校2年生のみなさん、受験勉強を始める時期です。
ペンギンの群れにはリーダーはいません。
人間社会のリーダーがファーストペンギンになるとは限りません。
まだ何者でもない今こそ、ファーストペンギンになってください。